2007 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面接触部のナノ観察と同定に関する研究のナノ位置決めシステムへの応用
Project/Area Number |
19560133
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
川口 尊久 Utsunomiya University, 工学研究科, 助教 (60234043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑沢 鉄三 宇都宮大学, 工学部, 教授 (30114169)
藤本 隆士 国立弓削商船高等専門学校, 電子機械工学科, 教授 (30332076)
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Keywords | 真実接触面積 / 位置決め / 摩擦 / スパッタ薄膜 / ナノスケール / 固体表面 / SPM / セラミックス |
Research Abstract |
これまでの研究において,種々の鋼やセラミックスの接線力による接触面間の微小変移特性について検討し,これらの摩擦面の特性を用いて,摩擦駆動方式によるナノメータオーダの位置決めへの適用が可能であると考えている.そこで,摩擦面接触部の微視的な測定とあわせて,繰返し微小変位特性を用いた精密送り機構を解明することと,これがナノオーダ送り機構として十分活用できることを裏付けることを目的とした.本年度は,これまで用いてきた実験装置により基礎テータを得るための実験を行った. 1.実験方法 装置はまず発振器で一定の振幅をもつ電圧を,スピーカーに印加する.それによりボイスコイルが発生する振動を試料板に接線力として作用させる.そして生じる変位δを変位センサが計測し,レコーダに記録した.実験で使用した試料と仕上げ方法は,粗い面の黄銅試料の接触面を,表面粗さを約1μmRzの等方性摩擦面になるように仕上げた.また滑らかな平面試料のジルコニアは,表面粗さが0.07μmRzの滑らかな面に仕上げた. 実験条件は,まず巨視的すべりを起こさない範囲の最大接線力f_0を求めた.次に,f_0を基準として,繰返し接線力(振幅)f_1の大きさ,さらに繰返し接線力に加えるシフト量Δfを変化させて実験を行った.なお,振動数は5Hzで行なった. 2.実験結果 今回行なった実験の結果としては,繰返し接線力を黄銅試料に25秒間に125回与えた場合,条件によってその間に406〜109nmの変位が生じた.つまり,1回の繰り返しで生じる微小変位Δδは,総変位を振動回数で割った値の9.6〜0.9nmとなった.このことから,微小変位を利用することにより,目標分解能1nmをもつナノ精密送り機構の実現の可能性が得られた. 次年度以降は,これらの得られた結果より実験装置の改良や摩擦面試料および実験条件を詳細に検討を行なう予定である.
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