2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560137
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩井 智昭 Kanazawa University, 機械工学系, 講師 (30242530)
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Keywords | タイヤ摩耗粉 / 天然ゴム / アレルギー / 転がり滑り摩擦 / ELISA法 / 摩耗粉粒子径 / スリップ率 |
Research Abstract |
本年度は,主にゴム材料から生成される摩耗粉の収集とアレルゲンの検出を行った.クリーンブース内で円板状ゴム試料をガラス平板と転がり滑り接触させ,種々の滑り率で摩擦摩耗実験を行い,生じた摩耗粉を集塵装置により収集した.集塵装置のフィルターを純水にて洗浄しろ過することで,摩耗粉を集積した.また,光学顕微鏡により粒子の数および大きさを計測し,滑り率と摩耗粉粒子径および摩耗粉量との関係を求めた.その後,摩耗粉を集積したフィルターを小さく裁断し,りん酸緩衝生理食塩水で振とうし,たんぱく質を抽出した.分析にはELISA法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)を用いた.この抽出液と1次抗体,2次抗体,発色基質を順次反応させた後,マイクロプレートリーダーにより405nmの吸光度を測定し,アレルゲン濃度を求めた.なお,本年度は天然ゴムに含まれる13種類のアレルゲンのうち4種類(Hev b1, Hev b2, Hevb5, Hev b6.02)について分析を行った. その結果,制動時のスリップ率80%以上,および駆動時のスリップ率-50%以上と高スリップ率のとき,アレルゲンが検出された.一方,低滑り率ではアレルゲンは検出されなかった.よって,滑り率が摩耗粉に含まれるアレルゲン量に影響を及ぼしていることが明らかになった.一方,摩耗粉粒子径や摩耗粉量は高滑り率では僅かに大きくなる傾向が見られるが,アレルゲン量との明確な関係は得られなかった.これは,摩耗粉は摩擦中に摩擦面で何度も繰返し応力を受け,摩耗粉同士が合体や分裂を繰り返すため,排出された摩耗粉の大きさが実際の摩耗状態を表さないためであると思われる.
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