2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560137
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩井 智昭 Kanazawa University, 機械工学系, 講師 (30242530)
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Keywords | タイヤ摩耗粉 / 天然ゴム / アレルギー / 摩耗 / スリップ率 / 表面粗さ / 研摩紙 / ELISA法 |
Research Abstract |
近年の環境問題に対する関心から、タイヤ原材料として天然ゴムが再注目されている。一方、天然ゴムには種々のタンパク質が含まれており、そのいくつかはアレルギーを引き起こすことが知られている。タイヤは走行により摩耗するが、このとき、生じた摩耗粉がアレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)を含むかどうかが、加速や減速および定常走行中など走行条件や、相手面の粗さなど苛酷度の違いによって影響を受けるかを明らかにする必要がある。 本年度は、粒度の異なる研摩紙と天然ゴム試料を様々な速度比(スリップ率)で摩擦摩耗実験を行い、収集した摩耗粉に含まれるアレルゲン量を測定した。ゴムおよび相手面研摩紙は-40mm/sから40mm/sの範囲でそれぞれ変化させ、スリップ率-100%から100%を実現した。また、相手面はCC#100,CC#400,CC#800の3種類用いた。なお、CC#100研摩紙の算術平均粗さは舗装路のアスファルト部分とほぼ同じであり、CC#400研摩紙は骨材とほぼ同じ表面粗さである。 その結果、最も多くのアレルゲンが検出されたのはCC#400研摩紙のスリップ率100%(制動時のタイヤロック状態と同等)のときであった。なお、CC#400研摩紙では、±80%以上のスリップ率でアレルゲンが検出されたが、その他の研摩紙でも高スリップ率時にアレルゲンが検出される傾向があった。一方、研摩紙の粗さに関わらず、低スリップ率ではアレルゲンはほぼ検出されなかった。 以上より、タイヤ走行時に生ずる摩耗粉のうち、加速時及び減速時の高スリップ率時に生ずる摩耗粉にアレルゲンが含まれる可能性が高いことが明らかになった。
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