Research Abstract |
本研究の目的は,ダイヤモンドアンビルセル(DAC)高圧装置を用いて,直径約60μmの油中マイクロ金属球の塑性変形する様子を観察し,潤滑油の固化圧力,固化油のせん断応力などレオロジー特性を6GPa,100℃まで評価することである.研究実績を本年度の「研究実施計画」に照らし,以下にまとめる. 1)前年まで確立した手法を用いた実験を継続し,作動油,イオン液体の試作油など広範囲の油について粘度測定も含むレオロジー特性データを,6GPa,100℃まで蓄積した. 2)アルミ球の変形開始圧力として得た固化圧力は,偏光特性の現れる圧力とほぼ一致し,Barusの式による固化圧力までの外挿高圧粘度は,いずれの油も100℃までの昇温実験結果を含め,10^5~10^8Pasとなった. 3)固化後のせん断応力は油種間では,高粘度トラクション油のみ低圧から高い値となったが,高圧においては油種間で差異はあまりなかった.銅球では,1GPa~1.7GPa付近で文献のトラクション試験からの平均せん断応力とほぼ一致した. 4)分子動力学シミュレーション,光子相関法の高圧粘度評価への適応可能性を検討した. 5)潤滑油固化の物理的解釈については,ガラス転移が静水圧下,理想的静的条件で自由体積が2%程度で10^<12>Pasの粘度となるのに対し,DACでは非静水圧性(分解せん断応力)が高く,4%程度と多めの自由体積により金属のような分子間の不均一すべりが発生し,固化特性の1つである塑性特がそれより低い粘度,圧力で現れると解釈した.レオロジーモデルは粘塑性モデルが有望と考えられるが数式化は困難である. 6)以上の実験手法の確立,実験結果,文献値との比較考察などから,本研究の目的をほぼ達成できたと総括した.
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