2009 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタ膜を用いたき裂発生寿命の実測に基づく疲労強度に及ぼす表面状態の影響評価
Project/Area Number |
19560146
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
とう 鋼 University of Miyazaki, 工学部, 教授 (90237040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 勉 宮崎大学, 工学部, 教授 (40038055)
前田 幸治 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50219268)
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Keywords | 疲労き裂 / 疲労き裂発生検出 / イオンスパッタ膜 / 疲労き裂発生寿命 / 浸炭焼入異常層 / 表面粗さ / 電解研磨 |
Research Abstract |
平成21年度は,引き続き疲労寿命に及ぼす表面粗さの影響を調べるため,#2000,#400,#240と#100のサンドペーパーで仕上げしたS50C調質材試験片を用いて曲げ疲労実験を行った.試験片ノッチ部の表面粗さR_aはそれぞれ0.03,0.3,0.74と1.27μmである.さらに,SCM415材試験片に浸炭焼入れを施し,浸炭焼入れの過程で生じた表面異常層(非マルテンサイト組織)を確認し,その性質及び疲労強度に及ぼす影響を調べた.今年度で得られた主な結果は以下の通りである. 1) イオンスパッタ金属膜を用いて,曲げ疲労試験片のき裂発生寿命,き裂進展寿命及び疲労寿命を測定した結果,疲労き裂発生寿命は破断寿命の70~90%程度を占めていることが知られた.また,表面粗さRaを1.27μmから0.03μmにすることでき裂発生寿命は3倍ほど長くなることと,き裂進展寿命の変化がないことがわかった.それらの結果から,表面粗さの改善にょってき裂発生寿命が長くなったことが疲労強度向上に繋げたことを明らかにした. 2) 浸炭焼入れ過程で生じた表面異常層(非マルテンサイト組織)による表面硬さの低下は200HVにも達している.表面異常層による疲労強度の低下を確認するため,表面異常層を電解研磨によって除去し,表面異常層の有無による疲労寿命の変化を調べた.その結果,表面異常層の除去によって疲労寿命が大幅に長くなったことを確認した.高負荷動力伝達用浸炭焼入れ歯車には表面異常層の発生の抑制及び異常層の除去は強度向上の重要な手段であることとの指針を得られた. なお,本年度で得られた結果を平成21年度5月と7月の国際会議にて発表した.また,平成22年度の国際会議での発表も予定している.
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