Research Abstract |
本研究の目的は,1.軸受部をすべり接触要素から転がり接触要素へ変更することによるメカロス低減,2.オイルの低粘度化による摺動部の粘性摩擦低減,3.要素部品表面の仕上げやコーティングによる境界摩擦、摩耗の低減,4.オイルへのナノ、パーティクル固体潤滑剤の配合による摩擦摩耗低減,5.オイル性状のLow-SAPS化と摩擦摩耗低減の両立など,高性能、高信頼性エンジン、トライボロジー技術の検討である。 そこで,(1)試験装置を製作して,カム軸などの回転駆動トルクを測定し,すべり接触部の転がり接触化による摩擦低減の条件(軸受の種類,形状,給油量など)を調べる実験の準備を整えた。その際,(2)国内外の研究動向を調査し,すべり軸受や転がり軸受,エンジン油の粘度等級がSAE5W30やSAE5W20の低粘度オイルや各種のLow-SAPS環境対策オイルなどを選定し,評価の方法を検討した。 また,要素部品表面コーティングによる摩擦摩耗低減の効果,とりわけ(3)固体潤滑性や耐摩耗性を高めるコーティングの種類(DLC等カーボン類,二硫化モリブデンやクロム/チタン化合物など),被覆の形態,膜厚などの影響ならびにエンジン油選定の条件を調べる実験の準備を整えた。その際,(4)有効なコーティングの材質や方法について,国内外の大学,研究所やメーカの研究者の推奨・助言を必要とし,英国の中央ランカシャ大学の複数の有識者の助言,協力などを受けた。 一方,(5)カム、フォロワ摩擦摩耗試験機やカム、ローラフォロワ摩擦試験機を用い,Low-SAPS油やそのすす混入汚損油が動弁系の摩擦摩耗に及ぼす影響を調べる実験を実施した。 さらに,(6)上述の各種試験機を用い,低粘度エンジン油にナノ、パーティクル固体潤滑剤(PTFE,MoS2,グラファイトなど)を調合する場合の摩擦低減の効果や摩耗への影響を調べる実験を開始した。同時に,ディーゼル機関の全摩擦損失低減へ寄与する効果を調べる実験も開始した。
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