2007 Fiscal Year Annual Research Report
摩擦界面現象による固体表面極表層のナノ構造変化に関する研究
Project/Area Number |
19560154
|
Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
後藤 実 Ube National College of Technology, 機械工学科, 准教授 (00435455)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋本 晃一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40262852)
|
Keywords | ナノ材料 / トライボロジー / 超薄膜 / 表面・界面物性 / 放射線X線粒子線 |
Research Abstract |
Si(111)清浄表面に1原子層の銀原子が化学吸着したSi(111)√3×4√3-Ag表面(以下、√3-Ag表面)に1-100nmの銀多結晶膜を成膜し、先端曲率半径3mmのダイヤモンド球で摩擦した場合、摩擦配向現象は10nm以下の平均膜厚において顕著に生じることを反射高速電子線回折及び放射光によるX線回折の解析結果より明らかにし、特に膜厚5nm付近が摩擦配向させるためには好ましいことが明らかになった。摩擦配向と摩擦条件との関係に関して、摩擦面のヘルツ面圧が増加するに従い単位摺動回数あたりの配向性変化が大きくなることが明らかになり、蒸着基板側の降伏応力と最大ヘルツ面圧のバランスが重要であることが明らかになった。一方、膜厚が10nmを超えると顕著な摩擦配向減少は急速に認められなくなり、摩擦配向現象はナノメートル尺度の膜厚領域に固有の現象であることが確認された。 また、摩擦配向させた平均膜厚5nmの銀薄膜上へ追加蒸着により更に銀薄膜を成長させた場合、追加蒸着膜はエピタキシャル成長することが明らかになった。一方、摩擦配向させていない平均膜厚5nmの銀多結晶膜上へ銀薄膜の追加蒸着を行った場合、平均膜厚50nm以下の領域においては多結晶膜のまま成長し、さらに500nmの膜厚に至ると徐々に(111)配向が強くなることが明らかになった。この知見は、同一元素の金属薄膜において結晶配向性の異なる二つの領域を持つ機能性表面が得られることを示している。この成果は、摩擦領域を任意に変化させることによって、多結晶領域の中に任意形状の摩擦配向領域をその場作成することを可能とする薄膜創成加工技術への応用に対する可能性を含んでいることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)