2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560161
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 敬三 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 講師 (20072134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小方 聡 首都大学東京, 都市教養学部・機械工学コース, 准教授 (50315751)
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Keywords | 流体工学 / 省エネルギー / 抵抗減少効果 / 多糖類 / 円管内の圧力損失 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
近年,地球温暖化防止に密接に関わる省エネルギー化の問題と関連して流体の抵抗減少効果に関する研究が注目されている.高分子添加剤を用いるものはトムズ効果と呼ばれその発見以来,研究者や技術者によって現在まで多くの研究がなされている.また,高分子と異なり機械的なせん断によって劣化しにくい界面活性剤は工業的にも都市の熱エネルギー供給パイプラインシステムやビルの暖冷房空調システムに応用されている.しかしながら,高分子や界面活性剤の抵抗減少添加剤を用いた水溶液の廃棄は環境負荷への影響が大きく,その応用は閉回路のパイプラインシステムに限定される.それゆえ,環境負荷の影響を考えるならば,今後はバイオポリマーの応用が注目される. 本研究は従来試みられていない乾燥麹を水に培養して水溶液を作り,その流動特性と乱流域における管摩擦係数を測定した.実験装置はピストン,シリンジ,測定流路から構成されており,シリンジは硬質耐熱ガラスの容積200mlの注射筒である.シリンジ先端部はロックチップになっており,ワンタッチで測定流路の取り付けが可能である.供試実験装置は円管のレイノルズ数範囲で500<Re<8000まで測定可能で流れは層流から乱流域までの管摩擦係数を測定できる.供試水溶液は(1)乾燥麹(蒸米に麹菌を付加し乾燥させたもの)に水道水を加え,一時間,一定温度で放置する,;(2)残った麹菌抽出液をろ過し水道水を加え,一定温度(35℃)である時間麹菌を培養する,;(3)培養終了後,培養液をろ過する,;(4)ろ過された培養液と水道水を一定量混ぜ合わせたものを作成して実験を行った.その結果,その水溶液の粘性における非ニュートン性は無視でき,乱流域では最大40%の抵抗減少効果を生ずることが初めて明らかにされ,この原液を用いた水溶液の抵抗減少効果を管路輸送の省エネルギー化に応用出来ることを示した.
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