Research Abstract |
本研究では,砂,ポリウレタンフォーム及び高粘度流体中の爆風圧力伝播と衝撃圧力環境の緩和効果を調べた.特に,低空隙率の砂,高空隙率のポリウレタンフォーム及び高粘度流体(シリコンオイル)中において,微小爆薬(アジ化銀)をレーザ起爆し,発生した爆風の過剰圧測定から,固体及び液体の複雑媒体を用いた衝撃波・爆風環境の緩和効果と衝突干渉の違いを比較しながら調べた.今回得られた研究結果として,フォーム中を通過する爆風圧は,空気中と比較すると最大過剰圧は90[%]以上減衰し,ステップ的な圧力上昇は確認できず,フォーム中を伝播するブラスト波はフォームの3次元的な空隙構造によって非定常抵抗を受け,換算距離の増加に伴い圧縮波に減衰する.砂中を通過する爆風圧は,ステップ的な圧力上昇は確認できなかった.ブラス波は砂のランダムに配置された3次元の分布から非定常抵抗を受け,圧縮波へ減速する.過剰圧の減衰率は空気の過剰圧と比較して,換算距離Z<0.7[m/kg^<1/3>]の範囲では約5%減衰し,換算距離Z>0.8[m/kg^<1/3>]の範囲で約60%の最大過剰圧の減衰が確認できた.ポリウレタンフォームによるブラスト波の過剰圧の減衰は,砂及と比べて1番良いことがわかり,爆風環境減衰効果が一番高く,爆発物の処理などはポリウレタンフォーム中で行うと効率的に処理する事が可能である.シリコンオイルの過剰圧は水中の過剰圧より低く,シリコンオイル中でのインパルスは水中のインパルスより高くなった.また,動粘度の増加によって,正の圧力伝播の周期が水に比べ長くなるためインパルス値も増大する.シリコンオイル中のガス球の直径は,動粘度が高いほど小さくなり,膨張収縮周期は短くなっている.爆薬で発生する衝撃力は一定であり,ガス球の形成が流体の動粘度の増大により,大きな非定常抵抗となりガス球の膨張が抑えられた.
|