2008 Fiscal Year Annual Research Report
電界による燃焼火炎から排出される粒子状物質の抑制メカニズムの解析に関する研究
Project/Area Number |
19560191
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
斉藤 正浩 Gunma University, 大学院・工学研究科, 助教 (50170527)
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Keywords | 火炎 / 粒子状物質 / 電界 / 燃焼 |
Research Abstract |
燃焼装置やディーゼル機関から排出される粒子状物質(PM)に対する規制が強化され,とくに数100nm以下のナノPMは肺胞内に蓄積するといわれ重要視されている.近年,大気汚染物質の除去法の一つとして電界やプラズマなどの放電現象を利用したPM抑制に関する研究が報告されている.しかし,従来の研究は排出されたPMを処理する後処理技術がほとんどである.また,電界がナノPMやその構成成分に及ぼす影響を調べた研究はほとんどないのが現状である.本研究では,燃焼火炎から生成されるPMを燃焼段階で抑制するために,電界を燃焼火炎に直接印加する方法を採用し,PM除去特性に及ぼす印加電圧,電極間距離,極性,電界強度などの影響を定量的に調べるとともに,PMの粒径分布や構成成分,火炎の温度分布を測定することで,電界によるPM抑制のメカニズムを考察した。 その結果,ノズル電極に正電圧を印加した場合,印加電圧が10kV以上になると火炎先端部に尖状の部分が現れ,火炎長さが短くなった.一方,負電圧を印加した場合はPMの凝集塊がノズル先端に堆積し火炎が押しつぶされるようになった.これは,ノズルに直接電界を印加することによって生じるイオン風が関係していると考えられる.また,電界強度が150kV/m以上でPM排出量を電界無印加時の90%以上を抑制できた.さらに,PMの粒径分布に及ぼす電界の影響を調べた結果,印加電圧が増加するにつれて粒径30〜500nmの粒子数が大幅に減少し,逆に印加電圧が10kV以上では10〜20nmの粒子数が増加することがわかった.これは,ノズル電極に電界を印加することでイオン風が生じ,燃料と周囲空気の混合が促進されて火炎先端部での無焼が活性化し火炎温度が上昇する.その結果,火炎内で生成したPM前駆物質が凝集せずにそのまま火炎外へ排出ざれたためと考えられる.
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Research Products
(1 results)