2009 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を付与したナノ強化材分散融液の凝固による機能性複合材料の開発
Project/Area Number |
19560220
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
義岡 秀晃 Ishikawa National College of Technology, 機械工学科, 准教授 (80259845)
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Keywords | 凝固 / 複合材料 / 超音波 / 結晶成長 / ナノ材料 |
Research Abstract |
母材にナノ粒子・ナノ繊維が周期的に配列した異方性の強い機能複合材料開発を目的に,強化材懸濁液に超音波を付与した凝固実験と実験結果を踏まえた分析を行い,以下の結果を得た. (1)実用化に対する基礎を得るため,母材として水を,強化材としてアルミナ粒子,シリカ粒子を供試した凝固プロセスのその場観察を行った.定在超音波の付与により,音響放射圧を受けた懸濁液中の微粒子は発振面と平行に一定間隔を持った縞状の配列構造を形成し,その間隔は発振周波数の増加に従って小さく緻密なものとなった.しかし,一定時間の経過によって,微粒子の凝集,沈殿が開始し,温度差による対流効果とともに微粒子配列構造の崩壊が生じた.時系列的に生じるこれらの現象を考慮して,効果的な懸濁溶湯の注入や超音波の投入,適切な冷却操作の時機などの操作条件が明らかとなった. (2)強化材としてアルミナ粒子を懸濁させたBi-Sn共晶合金を供試した実験を行った.懸濁融液の準備は,粉体素材の混合融解によって達成された.粒子は母材内に均一分散したが,超音波周期に対応した混入微粒子の規則性は確認されなかった.実用材料を製造するには,懸濁溶融液の粘性と超音波強度の点で改善が必要であることがわかった. (3)凝固プロセスは,自由成長(非平衡凝固過程),平衡凝固過程からなり,自由成長の段階では,複数の樹脂状結晶によって凝固進行することから,間隙融液に懸濁質が取り込まれ,微粒子配列は部分的に凝固固定された.平衡凝固においては平らな界面のもとで凝固が進行するため微粒子配列の固定が広範囲に実現する可能があることが明らかとなった.
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