2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形性の発現・操作によるナノ・マイクロマシーンの高性能・高機能化に関する研究
Project/Area Number |
19560225
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
薮野 浩司 Keio University, 理工学部, 教授 (60241791)
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Keywords | 自励振動 / 非線形振動 / 原子間力顕微鏡 / 振幅制御 / マイクロカンチレバー / 生体試料 / 液中観察 / 振動利用 |
Research Abstract |
ナノ・マイクロマシーンの高性能および高機能化を目的とした新しい制御法の提案とその有効性の検証を引き続き行った.前年度まではマイクロカンチレバーの自励発振法とその振幅の低減化のための制御手法の提案およびその積分制御による実装法が提案され,試作AFMでの実験検証がおこなわれた.本年度はさらに実機への有用性を示すため,前年度に提案された非線形フィードバックを用いたvan der Po1型自励発振を利用したマイクロカンチレバーを用いたAFM(原子間力顕微鏡)の有用性を実験により検討した.すなわち,市販AFMの画像処理部分を利用し,サンプルステージの制御法,マイクロカンチレバーの制御法は本研究で提案したものを用いて,試料観察を行った.フォースカーブを実験により求め,原子間距離に応じたマイクロカンチレバーの固有周波数変動を明らかにした.自励発振したマイクロカンチレバープローブの操作において,より振動振幅を小さくした方が,固有周波数変動が感度よく測定できることが明らかになった.さらに,液中観察時のマイクロカンチレバーの挙動を調べた.有効質量と粘性の増加によって固有周波数が大気中に比べて30から50%低下することを実験により明らかにした.また,液中環境で従来法(強制加振法)により周波数応答曲線を求めた場合には大きなスプリアスが見られ,マイクロカンチレバーの等価固有振動数を正確に見積もることは不可能であることを実験により指摘した.これに対して,提案手法による自励発振ではその応答波形は等価固有振動数に一致した単一の周波数成分からなり,固有周波数推定は高精度で達成できることが明らかになった.
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