Research Abstract |
本研究で達成しようとした目標は以下の通りであった.1.低剛性の従来設備を(産業分野:天井クレーン,福祉分野:ワイヤ吊り具など)ベースに,2.100[kg]以内の搬送対象物を.3.直接手に持って.4.残留振動無く,また安定に,5.新開発のせん断力センサを用いて,6.任意の位置,姿勢(6自由度)を操ることのできる,7.操作性の良いパワーアシストシステムの研究・開発. このうち,1,2,3,4,6,については十分に達成できた.また,5.においても,基本デバイスの作成を行った.具体的には,垂直一自由度・水平二自由度のパワーアシストを,天井クレーンに取り付けた力覚センサにより人の操作力を検知し,それぞれのモータを駆動することで実現した.また,ロール角,ピッチ角の姿勢制御を,サーボモータで駆動される2本の直動シリンダと,ワイヤ張力を計測する三つのロードセルを用いて,ヤコビアンに基づいて人の操作力を推定し,逆ヤコビアンから姿勢制御を行うことで実現した.ヨー角については,本機構はワイヤ1本で荷物を懸架する方式であるため,ワイヤを捻ることにより容易に実現できた.さらに,せん断力センサは,シリコン基板上にウィスカーを生成し,ピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化を計測する事で実現した. 以上の研究成果として,わずか20N程度の力で直接荷物を把持して30kgの荷物を任意の位置・姿勢に制御することができた.ワイヤ懸架方式によるパワーアシストは世界に例がなく,画期的なシステムと言える.
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