Research Abstract |
本研究では,インピーダンス整合に基づいて有限長構造物における反射波の発生を抑制し,純粋な進行波だけを生成する技術を水中の振動板の制御に応用し,高効率な水中推進機構を実現することを目指している。具体的には,所望の水中推進機構を実現するにあたり,特に次の3つの技術を開発することを目標としている。 (1) 時間変化する振動板の波動パラメータをリアルタイム同定する技術 (2) 波動パラメータをフィードバックして反射波を生じさせないように能動制御する技術 (3) 進行波を任意の方向に瞬時に切り替える技術。 今年度の成果としては,上記目標(2)に示したフィードバック制御の前段階として,波動パラメータのフィードフォーワード制御による水中での純粋進行波生成に成功したことや,上記目標(3)の前段階として,瞬時ではないが,進行波の方向を切り替える制御に成功したことが挙げられる。また,波動制御に必要な基礎データを収集するため,弾性平板を水中で波動運動させる際の水の付加質量効果と距離減衰効果に関する予備実験を行い,これらの効果を定量化できる可能性を示した。 一方,これらの研究の中で,一端で生成した進行波を他端で吸収することで反射波を抑制する意味での進行波生成制御は,エネルギー的に不利であることを考慮し,当初の研究計画に加えて,定在波を利用した進行波生成の手法についても検討した。この結果,2枚の弾性平板を共振させた場合の定在波の隙間空間が進行波となることを利用し,水中推進装置,ポンプ,物体の搬送装置などが実現することを発明し,特許の出願に至った。
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