2009 Fiscal Year Annual Research Report
純粋進行波生成のための能動インピーダンス整合制御に基づく水中推進機構の高効率化
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19560237
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
松村 雄一 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (20315922)
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Keywords | 機械力学・制御 / 振動制御 / 制御機器 / バイオ流体力学 / 水中推進 / 進行波生成 / インピーダンス整合 / 進行波フィルタ |
Research Abstract |
本研究では,インピーダンス整合に基づいて純粋な進行波だけを生成する技術を水中の振動板の制御に応用し,高効率な水中推進機構を実現することを目指している。具体的には,次の技術を開発することを目標としている。 1時間変化する振動板の波動パラメータをリアルタイム同定する技術 2波動パラメータをフィードバックして反射波を生じさせないように能動制御する技術 3進行波を任意の方向に瞬時に切り替える技術。 本年度は,1や2に関係する波動パラメータである複素波数の簡便な同定手法に取り組み,弾性平板を水中で波動運動させる際の水の付加質量効果と距離減衰効果の概数を制御の前段階で定量化し,把握しておくことを目指した。 はじめに,水中での複素波数を簡便に同定する手法を開発した。水の付加質量効果と距離減衰効果により,弾性平板を伝播する波動の複素波数は大きく変化する。水の付加質量効果は波動の伝播速度(位相速度)に影響することから,複素波数の実部と関係し,距離減衰効果は複素波数の虚部と関係する。昨年度までの制御実験では,複素波数を予め同定しておくことなく,試行錯誤的に純粋進行波を生成していたことから,駆動周波数毎に純粋進行波を生成できる条件を探索する必要があった。そこで,弾性平板上に生成される波動を動画像解析によって計測し,位相速度や端部での反射を波動解析アニメーションと比較することで複素波数を得る手法を開発し,以前より簡便に複素波数の同定を行う手法を確立できた。本手法で得た複素波数と,昨年度までの純粋進行波生成制御に必要であった複素波数を比較したところ,ほぼ同じ値を得たことから,本手法で得た複素波数によって純粋進行波生成制御が可能となることが示された。 次に,本手法による複素波数の同定過程において,弾性平板に作用する水の付加質量効果や,距離減衰効果の同定も行えることを示した。
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