Research Abstract |
平成19年度は,細長い流体管路内を移動する連結物体の駆動特性を調べるのに先立って,上・下流側に,それぞれ案内弁を取り付けた単独移動物体を取り上げた.なお案内弁は,剛性が高く外径が管内径とほぼ等しいリング状のガイド板と,比較的柔軟で外径が管内径より大きいリング状のシール膜から構成されている. そして,最初に,物体の定常走行時における,物体の外側の流れと内部の流れのPIVによる観察を行った.その主な結果として,案内弁からの流体の漏れが無い場合は,物体内部の流れは渦状の層流になっており,物体の走行速度が速くなると渦状の流れが明確になると共に,管壁付近に,管軸方向の流速が管径方向に大きく変化する境界層の発生が確認された.ここで,管壁,移動物体の表面および2枚の案内弁に囲まれた領域を物体内部と呼ぶ.また物体内部の流れの円周方向成分は他の流速成分に比べて十分に小さく,物体内部の流れは軸対称流れとしての扱いが可能であることも確認された. 次に,物体内部の流れの数値シミュレーションを行った結果,物体内部の流れは,強制渦と自然渦の組み合わせで構成され,物体の走行速度が速くなると,渦中心と管壁付近での管軸方向流速成分の変化が顕著になることなどが理論的に確認された. 最後に,今後の課題として,3両連結の物体の定常走行実験を試み,案内弁と管壁との押し付け圧を変化させた場合に,案内弁の管軸方向の傾き,流体の漏れ,さらに案内弁の振動などが発生することが確認され,案内弁の改良の必要が認められた.また連結部分の構造の高精度化,連結間の流れの観察と解析が必要となる.これらの課題は,平成20年度に行う予定である.
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