2007 Fiscal Year Annual Research Report
分岐解析と最適化に基づく非線形制御系の解析的検証手法と車両運動制御系への応用
Project/Area Number |
19560242
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堀内 伸一郎 Nihon University, 理工学部, 教授 (30181522)
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Keywords | 機械力学・制御 / 分岐解析 / 最悪入力 / 制御系評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は,非線形制御系にも適用可能な効率的かつ信頼性のある制御系の机上検証手法を開発し,実際的な応用例からその有効性を示すことである.近年研究が進んでいる非線形システムに対する分岐解析手法と最悪入力評価法を用いる点が本研究の特徴である.本年度は主として分岐解析の車両運動制御系への適用について検討した. まず,簡単な車両モデルに対して分岐解析を適用し,タイヤ特性が限界領域の運動性能に及ぼす影響を検討した.その結果,鉛直荷重で正規化した前後輪タイヤカの最大値によって限界領域の運動特性が異なり,いくら前輪舵角を大きくしても不安定化しない車両と,ある前輪舵角以上では不安定状態に陥る車両があることを明らかにした.この結果はフィリピンで開催された機械工学に関する国際学会で発表した. 続いて,通常の分岐解析の手法を拡張し,非平衡状態においても仮想的な外力を加えることによってシステムを等価的な平衡状態にあると見なし,分岐解析を適用する新たな手法を開発した.この手法を加減速状態における車両に適用し,減速時には車両が不安化する可能性があることを明らかにした.以上の結果は米国で開催された車両運動力学に関する国際会議で発表し,その着想の斬新さによってThe Best Paper Awardを受賞した. さらに車両運動制御系の新しい設計手法を開発するため,従来の発想とは全く異なる品質工学に基づく制御系設計手法を提案した.この手法は非常に汎用性があり,比較的少ない計算量でロバスト性,目標値追従特性など複数の設計目標を高次元で満足させることができる.この手法を車両運動制御系に適用し,その有効性を数値シミュレーションによって示した.この結果は国内の学会で発表し,品質工学の制御系設計への適用という発想が評価され,ベストペーパー賞およびベストプレゼンテーション賞を受賞した.
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