Research Abstract |
研究計画に従い提示対象とするプラスチック製品表面の測定を行い,触感覚に関する因子空間マップを作成するためには,各々の物理特性に幅を有するサンプル群が必要であることがわかった.それらの物理特性として,主に粗さ,山の頂角,基本波長,硬さなどを考慮することとし,下記の触覚見本サンプルを作成した.精密鋳物粗さ試片4個と,この粗さ試片をウレタン樹脂でかたどりしたもの3試片,同様に硬さの異なるゴムでかたどりしたもの7試片,さらに触感覚の全く異なるサンドペーパーにアクリル塗料を塗布したもの4試片の5種類,計15試片を準備した. これらの試料に対して,手元を隠した状態で試料をなぞらせ,粗い/細かいすべすべ/ざらざら,滑らかな/引っかかる,硬い/柔らかい,温かい/冷たい,ぬるぬるした/さらさらした,などの13の形容詞対に対して,触感覚を6段階評価をさせた.被験者は20代男性10名である.得られた結果をSPSSを用いて因子分析を行ったところ,統計的に有意である粗い/細かい,密集した/隙間のある,などで構成される凹凸因子と,硬い/柔らかい,粘る/すべるなどで構成される硬さ因子の2つが抽出できた.これらを用いて感覚マップを作成することにより,上記試料群を適度に表現できる,触感覚マップを作成できた.次に触刺激の提示方法について再度検討を行ったところ,指に対して"接触点の移動による刺激提示"が非常に重要であるが,過去に研究がなく,早急にその実現性を検証する必要があるとの知見を得た.そこで提示方式の検討を行い,ホイール式刺激提示法を考案し提示システムを構築した.本システムを用いて各制御パラメータを変えた場合に提示される触感覚について,上記の試料の一部を用いて心理実験を行い定量化したところ,ホイールの制御パラメータを変化させることで,粗さ因子と滑らかさ因子を制御できることを明らかにした.
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