Research Abstract |
本研究では,指先でものをなぞる際の触感覚の提示手法の開発を目的としている.安定な感覚提示を行うためには,刺激の管理が用意な手法が重要である.そのため,本研究ではホイール式触覚提示手法を採用することした.本手法では,指先が物体表面をなぞる際の相対運動の刺激と,さらに表面の凹凸などの刺激を,各々ホイールの定常速度成分と変調速度成分で提示する.この方法では,指先とホイール表面の接触状態は安定であり,他の手法と比較して各々の管理を容易に実現できる. デバイスの作成を行い,物理サンプルと本デバイスを用いた触感覚に関する知覚実験を行った.サンドペーパを用いたサンプル,異なる粗さの粗さ試片をポリウレタン樹脂などで型どりしたサンプル計12種類,各々の表面粗さ,硬さなどの物理特性を計測した.一方ホイール型提示デバイスでは,デバイスの操作速度からホイールを制御する手法を考案し,制御パラメータを変えた11種類の刺激を準備した. これらを用いデバイスの中間的な制御パラメータによる刺激を基準として,恒常法による知覚実験を行った.各刺激の評価は,粗い-粗くない,粘る-粘らない,弾力のある-弾力のない,など14種類の形容対を各々5段階評価してもらうことにより行った. 本実験の物理サンプルの知覚実験結果の統計解析により,物理サンプル表面の微細な形状などに起因する感覚である“形状感因子",材質の硬さなどに相当する“材質感因子",そして指先とサンプル表面の相対運動に起因する“運動感因子"の3つを特定し,触感覚マップを作成した. さらに,提案したデバイスにより提示した刺激が感覚マップ上で移動していることが確認でき,本デバイスの有効性を確認した.本結果は,本年5月中に論文化する.今後は,任意の感覚を提示するための制御手法について研究を進める.
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