2007 Fiscal Year Annual Research Report
人-人協調手動制御系における操作者の自己整形特性の解析に基づく対人協調制御
Project/Area Number |
19560253
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松尾 芳樹 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90173806)
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Keywords | 制御工学 / 知能機械 / 作業支援ロボット / 対人協調制御 / 人-人協調作業実験 / 手動制御系 / 自己整形特性 / モデリング |
Research Abstract |
本年度は,人-人協調作業の単純化モデルとして,2者による仮想対象物の手動制御実験を可能にする作業シミュレータを開発し,人同士の協調作業の系統的な実験を行なって,各作業者の基本的な手動制御特性と協調作業性能の関係について検討した.まず,2名の被験者がそれぞれの操作器に加えた力の合力によって仮想的な点オブジェクトが平面内運動をし,その挙動が各人のディスプレイに表現されるような作業シミュレータを完成した.そして,大学院生10名の被験者を学内で公募し,仮想対象物の運動の視覚情報だけをフィードバックした状況での協調外乱抑制実験を行なった.はじめに,被験者の単独作業時の特性を調べたところ,異なる対象特性に対する自己整形の傾向によって,被験者が4つのタイプに分類できることが分かった.そこで次に,各タイプの代表的な者を主被験者として選び,それらを他の被験者と組み合わせた多様なペアを構成して,2者による協調外乱抑制実験を行なった.その結果,両被験者の操作特性が十分に定常的になった状況では,各被験者および両者を合わせた偏差補償の伝達特性は,いずれもほぼ1次補償要素とむだ時間の積としてモデル化できること,各人や組の特徴は,ゲイン補償量・位相補償量・むだ時間の3つのパラメータによって表わせることが分かった.さらに,ペアの各被験者の単独作業時の補償特性のタイプと作業結果の関係を分析すると,相手のタイプによる特性変化や作業性能の違いが,自身のタイプに応じた特徴を持つことも明らかになった.以上の結果は,人の主体的作業をロボットが支援する形態の協調作業系において,作業者のタイプに合わせてロボットの制御系を設計する際の指針を与えるものと期待できる.
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