2008 Fiscal Year Annual Research Report
人-人協調手動制御系における操作者の自己整形特性の解析に基づく対人協調制御
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19560253
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
松尾 芳樹 Tokyo University of Technology, コンピュータサイエンス学部, 教授 (90173806)
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Keywords | 制御工学 / 対人協調制御 / 人-人協調作業実験 / 手動制御系 / 自己整形特性 / モデリング / 時変線形モデル / システム同定法 |
Research Abstract |
昨年度の結果で,2名の被験者がそれぞれの操作器に加えた力の合力によって各人のディスプレイに表現される共通の仮想的な点オブジェクトを平面内運動させることによってその挙動を制御する協調作業実験において,被験者の組のふるまいが安定するまでに,お互いの動特性が変化して整形し合う過程が観察された.このように,人-人協調作業では,それぞれの作業者が相手と対象の挙動に応じて自身の動特性を適応させる調整過程の特性が重要と考えられる.しかし,その際の人の挙動は時変性が強く,これまでの準線形モデルによる定常的な解析法では分析がきわめて困難と考えられる.そこで本年度は,まずはじめに,人が自身の動特性を変化させる過程を解析するためのシステム同定手法を提案した.この手法は,再現可能な実験設定において多数回の作業実験を繰返し,その作業データを重ね合わせることによって,被験者の動特性の事象平均的な特性を線形時変モデルとして同定するものである.モデルとしては,時変荷重関数を用いた表現と,出力側から見た構造を規定した時変状態空間表現を導き,解析目的によってそれぞれの長所を活用する例を示した.さらに,実験データに含まれる雑音の影響を抑制する前置・後置フィルタを導入し,そのパラメータ選択の指針を示した.そして,動特性がステップ状に変化する対象を被験者1名が扱う外乱抑制実験を行ない,その結果をもとに被験者の時変線形モデルを同定することにより,提案手法の有効性を確認した.なお,本手法は人の手動制御特性だけではなく,さまざまな動的システムに対して,繰返し測定が可能な状況での時変動特性解析を可能にするという点で,今後の展開が期待できる.
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Research Products
(2 results)