2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁界解析を用いたインバータ用リアクトルの小形・低損失化に関する研究
Project/Area Number |
19560294
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
村松 和弘 Saga University, 理工学部, 教授 (30263627)
|
Keywords | リアクトル / インバータ電源 / 磁界解析 / 積層鉄芯 / 高調波 / 鉄損 |
Research Abstract |
本研究では、インバータ用リアクトルの小形・低損失化を目的とし、 「鋼板中の渦電流を考慮した積層鉄芯のモデリング手法」を用いて、電流に含まれる高調波成分が磁束分布や損失分布に及ぼす影響を明らかにするとともに、損失を低減するための鉄芯形状などの最適形状の検討を行う。本年度の成果は以下の通りである。 1.鋼板中の渦電流を考慮した積層鉄芯のモデリング手法における鉄損計算法の開発 鋼板中の渦電流を考慮した積層鉄芯のモデリング手法を用いて得られた鉄芯中、さらに鋼板中の磁束分布、渦電流分布から、高調波によって生じるマイナーループを考慮したヒスデリシス損および渦電流損を算出する方法について検討し、ソフトウェアを開発した。開発したソフトウェアでは、鋼板中の渦電流損が直接評価でき、また、発生要因別の詳細な鉄損が把握できる。 2.単相リアクトルの磁束、渦電流および損失分布の計算 単相リアクトルの磁界解析を行い、鉄芯中の磁束は鉄芯間のギャップおよび鋼板間の層間ギャップのため鉄芯表面で大きくなり、不均一であることを明らかにした。また、鉄芯および押え板中の渦電流は鉄芯間のギャップ付近で大きくなり、これはギャップによる漏洩磁場の影響であることを明らかにした。さらに、損失解析により、高調波成分によって、マイナーループによる損失と渦電流損が大きくなり、その増加割合を明らかにした。 3.鉄芯の最適形状の検討 上記リアクトルの損失解析により、鉄損を低減する方法として、鉄芯中の磁束分布を均一にし、かつギャップからの漏洩磁場を低減するため、鉄芯角部にテーパーを設け、かつ押え板の渦電流損を低減するため、押え板にスリットを挿入した構造を提案し、解析によって15%の低減効果が得られることを明らかにした。
|