Research Abstract |
本研究では,放電物理・化学に立脚した,大気圧非平衡プラズマによる有害ガス処理過程のモデリング手法の確立を目的としている。モデリング手法については,(1)誘電体バリア放電内のストリーマ生成のシミュレーション,及び,これに伴うラジカル生成量の評価,(2)比投入エネルギーの関数としてラジカル生成量を考慮したレート方程式による気相反応シミュレーション,(3)触媒反応のシミュレーション,の階層的なものとして前年度までに確定した。平成20年度は,平成19年度の成果のまとめに加え,以下のことを行った。 1.広範な条件下でのプラズマによる窒素酸化物除去過程の詳細解明 上記(1)(2)のモデルにより,広範な条件下(放電環境の温度,添加ガスの有無,ガス滞留時間など)においてシミュレーションを実施した。計算結果は実験結果と定量的に一致し,本研究の妥当性を示した上で,反応過程の詳細を調査した。 2.触媒反応モデルによるプラズマ触媒複合プロセスのシミュレーション 前年度に実施した,γ-アルミナ触媒上での炭化水素による窒素酸化物の選択接触還元のモデルについて,反応過程の再調査と再検討,気相-触媒表面間の粒子輸送について検討し,モデルの改良を行った。また,プラズマと触媒を直列に配したプラズマ触媒複合プロセスについて,触媒リアクタに導入するガス種組成をパラメータとして,触媒反応シミュレーションを実施した。 なお,当初計画として,大気圧非平衡プラズマによる揮発性有機溶剤(ベンゼン)の分解も実施する予定であったが,ベンゼンの分解過程に関わる素過程の不足により実施に至らなかった。
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