2007 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体/半導体ヘテロ構造におけるスピン依存伝導の研究
Project/Area Number |
19560307
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
植村 哲也 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (20344476)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / スピン注入 / 強磁性体 / 半導体 / Co系ホイスラー合金 / MgO |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)スピン偏極率の高いハーフメタル材料を用い、半導体中への高効率なスピン注入を実現すること、および、2)スピン注入した電子の半導体超構造におけるスピン依存伝導特性を明らかにすることである。今年度は、主に、Co系ホイスラー合金薄膜とMgOトンネル障壁層からなるトンネル注入源の実現にむけ、それらの良質な単結晶薄膜をGaAs上にエピタキシャル成長させる技術を開拓した。Co系ホイスラー合金はそのいくつかがハーフメタルであることが理論的に指摘され、また、室温より十分高いキュリー温度を有することから、室温において高いスピン偏極率が期待される材料である。今回は、Co_2Cr_<0.6>Fe_<0.4>Al(CCFA)とCo_2Mnsi(CMS)について検討したところ、両材料ともに、GaAs基板上に薄いMgO障壁層を介してエピタキシャル成長することを確認し、特に、CMS薄膜では、原子配置の乱れが少ない結晶構造を有することを実証した。また、得られたCMS薄膜の磁気特性のMgO挿入効果を調べ、MgO層の挿入により磁化の値が増大することを見出した。さらにスピン注入素子の実現のための基礎検討として、CMS/MgO/n-GaAs構造の電気的特性を調べ、MgO層がトンネル障壁として機能していることを確認した。これらの成果は、高効率スピン注入素子実現にむけて有意な結果である。平成20年度は、これらの成果を踏まえ、スピン注入効率の評価と半導体内でのスピン依存伝導特性を明らかにする計画である。
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Research Products
(41 results)