2008 Fiscal Year Annual Research Report
Bi-2223超伝導体における臨界電流特性の支配因子の解明と特性向上の試み
Project/Area Number |
19560317
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田部 荘司 Kyushu Institute of Technology, 大学院・情報工学研究院, 教授 (30231236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 勝 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 助教 (90304758)
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Keywords | Bi-2223 / 凝縮エネルギー密度 / ピンニング / 異方性 / ドープ |
Research Abstract |
昨年度までの研究において(Bi,Pb)-2223単結晶超伝導体の凝縮エネルギー密度は、酸素アニールによるドープで変化することを見出した。特に1気圧酸素雰囲気中でアニールした試料は低温においてY-123に匹敵する凝縮エネルギー密度があった。今年度は再現性を確かめるとともに、さらに状態の違うドープを含む一連の試料を作ることにより、さらに詳細に酸素アニールの効果について検討することとした。 試料はKCIフラックス法で作製しており、 Biサイトの15%がPbにより置換された。1,3,10気圧酸素アニール(350℃,48時間)を行った試料と、酸素量を減らす目的で1気圧窒素アニール(350℃と450℃,48時間)を行った試料を用意した。 Auイオンをc軸と平行に照射して柱状欠陥を導入し、照射前後の臨界電流密度J_c測定から凝縮エネルギー密度を評価した。さらにこれらの試料をこれまでの研究で測定した試料の結果と比較した。その結果、臨界温度T_cは若干酸素を抜いた試料が最も高い値を取るが、1気圧で酸素アニールを行った試料の凝縮エネルギー密度が最も高いという結果となった。したがって、最適ドープ状態よりも軽度のオーバードープ状態が凝縮エネルギー密度の観点からみた最適状態となっている。これはブロック層の超伝導性の改善によるものと考えられる。 J_cや凝縮エネルギー密度とT_cで異なる最適ドープ条件を得た。これはT_cにはCuO_2面のキャリア密度が影響するが、J_cや凝縮エネルギー密度にはCuO_2面とブロック層の両方のキャリア密度に影響を受けることが原因であると考えられる。したがってT_cの影響をあまり受けない程度まで酸素をドープすることが、超伝導特性を向上させる上で重要になることが分かった。
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Research Products
(4 results)