2009 Fiscal Year Annual Research Report
Bi-2223超伝導体における臨界電流特性の支配因子の解明と特性向上の試み
Project/Area Number |
19560317
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田部 荘司 Kyushu Institute of Technology, 大学院・情報工学研究院, 教授 (30231236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 勝 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (90304758)
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Keywords | Bi-2223 / 凝縮エネルギー密度 / ピンニング / 異方性 / ドープ |
Research Abstract |
昨年度までの研究において(Bi,Pb)-2223単結晶超伝導体の凝縮エネルギー密度は、酸素アニールによるドープで変化することを見出した。今年度は実用材に近い銀シーステープ線材において、超伝導フィラメント数と鉛ドープ量を変化させたときの臨界電流密度特性について注目して調べた。 試料はpowder in tube(PIT)法により作製されたBi-2223銀シース多芯線材であり、2次焼結プロセスにおいてConTroll-Over Pressure(CT-OP)法により加圧焼成が行われている。これについて超伝導フィラメント数と鉛組成を変化させた試料を作った。臨界温度は110Kから111K程度であり、このことは鉛組成を変えることによりドープ状態を適切に変化させることに成功していることを意味している。測定は直流四端子法とSQUID磁力計を用いて、臨界電流密度特性、および不可逆磁界を評価した。 フィラメント数を変化させるとフィラメント数が多いほど臨界電流密度は向上することが分かった。これはフィラメントと母材の銀との界面において超伝導層の配向性がよくなり、特性が向上したことが考えられる。また鉛の組成を増やすことにより臨界電流密度および不可逆磁界の向上が図られる。これはこれまでの研究におけるドープと同じ効果である。これらのことより従来の線材に比べて臨界電流密度特性を向上させることができた。一方で、超伝導フィラメント内部での電流分布が報告されており、超伝導層の配向性をさらに向上させることにより臨界電流密度のより一層の特性改善ができることが示唆されている。したがって、さらに製造プロセスの最適化が求められている。
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Research Products
(5 results)