2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子デバイス応用のためのアモルファス炭素薄膜のドーピング技術の開発
Project/Area Number |
19560319
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
比嘉 晃 University of the Ryukyus, 工学部, 教授 (50228699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山里 将朗 琉球大学, 工学部, 准教授 (10322299)
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Keywords | アモルファス炭素薄膜 / 化学ドーピング法 / ヨウ素ドーピング |
Research Abstract |
アモルファス炭素薄膜(以下,a-C:H薄膜と呼ぶ)のドーピングによる伝導度制御において,ドーピング元素が,アクセプタあるいはドナーとなり得るかはその膜構造に強く依存するものと考えられる.したがって,アモルファス炭素薄膜の構造を明確することが重要である.19年度は成膜条件およびドーピング条件と膜構造との因果関係を明らかにすることに重点をおいて研究を実施した.具体的には,スパッタリング法を用いて,膜中結合水素濃度が異なるa-C:H薄膜を合成し,その構造と物性の関係を明確にした.その後,これらのa-C:H薄膜に対して化学ドーピング手法により,ドーパントにヨウ素を用いてドーピングを行った.その結果,膜中へのヨウ素ドーピング量は,膜中の結合水素濃度が高い膜ほど多くなることがわかった.これは,膜中結合水素濃度が高い膜ほど膜密度が低くヨウ素が容易に膜中へ入っていくためと考えられる.また,膜中にドープされるヨウ素量が増加するほどa-C:H薄膜の光学ギャップの減少の度合いが大きく,本研究では2.6 eVから0.9 eVへの減少が確認された.さらに,電気伝導度も4桁増加することが明らかになり,ヨウ素ドーピングがa-C:H薄膜の伝導度制御に有効であることが示された.しかしヨウ素ドーピングによるこうした物性の変化は,ドーピング後,時間が経過するにつれてドーピング前の状態へ戻る傾向にあることが明らかになった.この現象はヨウ素の脱ドープに起因すると推測されるが,これまでa-C:H薄膜においては,ほとんど報告例がなく,今回の研究で新たにわかった現象である.この現象をより詳しく調べることにより,a-C:H薄膜への化学ドーピングのメカニズムについてより理解が進むものと考えられる.
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Research Products
(4 results)