2008 Fiscal Year Annual Research Report
希土類系イオンの磁気モーメント作用によるピンニングセンター研究の新展開
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19560325
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 嘉孝 Hachinohe National College of Technology, 電気情報工学科, 准教授 (00290685)
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Keywords | 磁気モーメント / 臨界電流密度 / 超伝導 / 希土類金属 / 希土類酸化物 / ピン止めセンター / 量子化磁束 |
Research Abstract |
本研究は高温超伝導GdBCOスパッタ薄膜中に、磁性材料である希土類酸化物RE203 (RE=Sm, Eu, Gd, Dy, Ho, Er and Yb)及び、希土類金属をドープする事により、人工ピン止めセンターを作り出し臨界電流密度の向上を目指すものである。磁性材料は磁気モーメントを持っているため、常伝導状態において、磁場中に試料を置くことで、ナノ磁性粒子の磁気モーメントを外部磁場Bの方向に揃えておく。その後、液体窒素の中に入れ、超伝導状態を作り出す。電流を流すと自己磁場が発生し、超伝導体内部に侵入する。或いは、外部磁場を印加し、下部臨界磁場を超えると、量子化磁束が超伝導体内に侵入する。電流を多く流していくと、量子化磁束が移動しようとするが、常伝導磁性ナノ粒子にピン止めされる。この時、ナノ粒子内の磁気モーメントMの方向と、量子化磁束Φの方向は一致する。更に、電流を流していくと、量子化磁束には強いローレンツ力が働き移動しようとする。常伝導ナノ粒子でもあるので、超伝導領域を壊すエネルギーが必要なため、ピン止めされる。更に、磁性ナノ粒子で磁気モーメントを持っているため、量子化磁束が移動しようとすると、平行であった量子化磁束Φと磁性ナノ粒子の磁気モーメントMとの間に、トルクが働き、Mを回転させるエネルギーも必要になる。つまり、磁性ピン止めセンターを用いることで、2種類のピン止め力が共存することになり、強力なピン止めセンターになる。実験の結果、Sm203希土類酸化物をドープした時、自己磁場臨界電流密度が3.1[MA/cm^2]と最も高くなり、磁性ナノ粒子のピン止めセンターは有効である事を確認した。また、磁気モーメントの大きさにより臨界電流密度Jcも変化することが確認されている。
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[Presentation] Critical current density and lattice distortion of RE_2O_3 (RE=Sm, Eu, Gd, Dy, Ho and Er) and metallic Gd doped GdBCO thin film2008
Author(s)
Y. Nakamura, Y. Morita, D. Yoshida, G. Nishijima, M. Mukaida, K. Watanabe, S. Ohshima
Organizer
APPLIED SUPERCONDUCTIVITY CONFERENCE(ASC2008)
Place of Presentation
Chicago, USA
Year and Date
2008-08-18