Research Abstract |
近年, 無線通信の普及と発展に伴って, 無線通信端末機の研究開発が盛んに行われており, 無線通信端末機に搭載されるアンテナシステムの性能を高速でかつ高精度で測定できる有効な測定システムの研究開発が急務となっている. 本研究では, 無線通信端末機に搭載されるアンテナ, アダプティブアレーアンテナの性能測定, 及び通信品質の評価のため, 複数の地点から同時に電磁波を測定が可能な独自な手法を発展し, 多数の地点におけるリアルタイムな電磁波の位相を測定できる方法を確立することを目的とする. 平成20年度では, 変調プローブアレーを用いた電磁界の位相の測定法として, IF信号取り込み法を提案し, その有効性を検討した. 提案法は, 変調散乱の信号を周波数領域で受信し, そのIF周波数成分の位相情報から, 被測定信号の位相情報を取り出す手法である. 受信した変調散乱信号の周波数スペクトラムでは, 変調されたIF信号が被測定アンテナの放射されたRF信号のスペクトラムの両サイドに現れる. 両サイドのIF信号のスペクトラムには, RF信号の位相成分の和と差が含まれているため, 両サイドのIFスペクトラムの位相を計測することにより, RF信号のスペクトラムの位相を算出することができる. 今年度では, 本手法を変調プローブアレーを用いた電磁界測定システムに適用し, 位相測定の実験システムを構築し, 実験を行った. その結果, 本手法による位相測定が可能であることが実験により確認できた. 本年度の研究成果により, 変調プローブアレーを用いた電磁界の位相測定が可能となり, 複数の地点から同時に電磁波の振幅と位相を同時に測定するシステムの実現に大きく前進した.
|