2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560336
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 正恆 Chiba University, 大学院・工学研究科, 教授 (00009664)
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Keywords | 弾性表面波 / 複素係数フィルタ / 電力増幅器 / 90°ハイブリッド / 一方向性変換器 / 平衡増幅器 / MiMO |
Research Abstract |
本研究では、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)方向性変換器を利用した複素係数フィルタとそれを利用した高周波信号処理を提案すると共に、その可能性とその有効性を多面的に検討することを目的としている。 まず、SAW方向性変換器について検許した。この素子の動作をモデル化し、その特性を理論的に詳細に検討すると共に、実際に素子を作成し、モデルの妥当性と複素フィルタとしての動作を確認した。また、複素フィルタとしての性能に影響を及ぼすと考えられる各ポート間の電気的結合を詳細に検討し、最適構造を探索した。そして、複数のSAW変換器をずらして配置した構成により、大きな方向性を持つと共に、IQポート間の分離に優れた複素係数フィルタが実現できることが明らかになった。 次に、このSAW複素フィルタを90°ハイブリッドとして利用し、それと高効率なAB級電力増幅回路と組み合わせて平衡増幅器を構成した場合の性能をシミュレーションにより詳細に評価した。そして、この構成により、散乱行列特性、電力付加効率等において、ほぼ理想的な特性が得られることを確認した。さらに、実際にSAW複素フィルタと高効率AB級電力増幅回路を試作し、それらを組み合わせて平衡増幅器を構成した。SAW変換器の個数が少なかったため、十分な電力付加効率はえられなかったが、散乱行列特性はほぼ理論通りの特性が得られた。次年度には、多くのSAW変換器からなるSAW複素フィルタを実現し、その有効性を明らかにしたい。
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