2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工媒質中の電磁波伝送・漏洩特性解析に基づくミリ波回路素子の開発
Project/Area Number |
19560359
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
辻 幹男 同志社大学, 理工学部, 教授 (50148376)
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Keywords | 左手系媒質 / 漏洩波アンテナ / 右手系/左手系複合線路 / コプレーナストリップ線路 / 漏洩モード / 多層平面回路 / フィルタ |
Research Abstract |
本年度実施計画に基づき、コプレーナストリップ線路を用いた左手系媒質漏洩波アンテナの低サイドローブ化を図った。右手系左手系複合伝送線路単位セル形状としては先ず昨年度開発した主ストリップ線路に方形ホールを設け、そのストリップ線路の側面に平行に細い副ストリップ線路を付加した構造のものを用い、漏洩波アンテナの設計チャートを作成した。これは位相定数が一定で、かつ漏洩定数が可変となる形状群を求めたもので、このチャートを用い実際に設計周波数を8.5GHzに設定し、サイドローブレベルが-30dBのテイラー分布をもつ漏洩波アンテナの設計を行った。この設計アンテナをスケールダウンしたマイクロ波帯にて試作し、放射特性の測定を行うことでサイドローブが低く抑えることを確認し、開発したアンテナの有用性を実験的にも検証した。また、アンテナの更なる性能向上を目指してストリップ両端部に突起をもつ形状についても検討し、突起の作用により周波数掃引幅を狭くしてビーム走査が可能なことも見出した。一方、もう1つの実施計画である2層構造の平面回路線路の各層に任意形状導体片や欠損が存在する回路に対しては昨年度開発したプログラムを用いてUWBフィルタの開発を行い、試作したフィルタの測定結果と計算結果との比較からその妥当性を検証した。また、左手系媒質構築のための遺伝的アルゴリズムを用いた設計法については分散特性に基づく評価関数に減衰定数を組み込むことを提案するとともに、これを用いて人工媒質設計を行った。設計媒質の有用性は試作した媒質の伝送特性の測定結果からも検証しており、左手系媒質の特長である位相進みを有する移相器として働くことも確認した。これらの成果は今後のミリ波回路素子開発の新たな展開に大いに寄与するものである。
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