2008 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ナノ構造を用いた超高感度テラヘルツ波計測技術の開発
Project/Area Number |
19560361
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
前元 利彦 Osaka Institute of Technology, 工学部, 准教授 (80280072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正崇 大阪工業大学, 工学部, 教授 (20029325)
佐々 誠彦 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50278561)
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Keywords | バリスティック / 整流デバイス / InAs / AIGaSbヘテロ構造 / 整流効果 / 量子細線 / 3分岐構造 / 磁気抵抗 / 回路応用 |
Research Abstract |
電子のバリスティック伝導によって生じる非線形な電気特性を利用した新しい原理の電子デバイスを開発するために、InAs/AIGaSbヘテロ構造を用いてバリスティック整流デバイスを作製して幅広い温度範囲で電気・磁気特性の評価を行った。 4.2K、77Kで明瞭な整流特性が観測され、平均自由行程が500nm程度の室温においても整流効果の観測に成功した。また、十字構造で左右の量子細線構造を上下の端子に対して斜めに配置し、中央に入射する電子自身を下の端子に直接出斜されるような構造でデバイスの微細化を試みた結果、この構造を用いたデバイスにおいても極低温から室温に至る広い温度範囲で整流特性の観測に成功した。整流特性を解析するために、Landauer-Buttikerの式を用いたモデルと比較を行った結果、デバイスの中心部分でバリスティック性が保たれるという仮定で測定結果と良い一致を得た。斜めに量子細線型構造を配置した微細化デバイスでは、磁場を印加した状態で整流特性を評価することで構造内のバリスティック電子の状態について新しい知見を得た。 さらなる高性能化のために、量子細線をT字型に接合した量子細線3分岐構造(Three-terminal Ballistic Junction:TBJ)の試作と評価も行った。TBJでは基準電位が存在することから、回路応用の観点でバリスティック整流デバイスよりも有用である。InAs/AIGaSb系TBJにおいても、明瞭な整流特性が観測され、温度依存性や素子サイズ依存性からバリスティック伝導がより支配的な状態で強い整流特性が得られることが分った。またTBJにおけるパルス入力に対する応答特性を評価したところ、InAs/AIGaSb系TBJではGaAs/AIGaAs系TBJと比較して約1桁高い周波数での動作を確認し、高速動作の可能性を示した。
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Research Products
(7 results)