2009 Fiscal Year Annual Research Report
時間遅れ結合・双対カオスシステムを用いた簡便な秘匿通信方法の開発
Project/Area Number |
19560386
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
白濱 弘幸 Ehime University, 教育学部, 准教授 (60275427)
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Keywords | 非線形理論・回路 / カオス通信 |
Research Abstract |
本研究は,時間遅れ同期現象を用いた新しいカオス通信方式を開発することにある.本年度は研究の最終年度であり,カオス通信の実用化のための実験を行う予定であった.今年度の研究の過程で,カオス同期通信に使用可能な,新しく興味深い現象を発見した.そのために,共同研究機関(ドイツダルムシュタット工科大学)と検討の結果,本来の実用化のための実験に先立ち,その現象の評価を行うことにし,より安定な秘匿通信の開発を目指すことにした.発見した現象は,予期カオスと呼ばれているものである.これを用いると,通信の受信者は送信者の信号を予測し,その予測に基づき送信された信号を復調する.この方式を用いると,伝送線路には送られている信号には伝送すべき信号の情報は送られていないために,これを盗聴しても元の情報は復調できない.このように本方式は非常に高い秘匿性を持つことが期待できる.この方式のオリジナルはVossによって発見されていたが,その不安定性のために実用化にはまったく不向きであった.しかしながら,本年度のわれわれの実験で偶然によい安定性を得られた.強い安定性に関する理論的な裏づけも概ね確立されようとしている.この研究を合わせて,時間遅れ同期現象を用いた新しいカオス通信方式を確立する予定である. また,論文発表に関しては,従来のカオス通信方式のものに関して,中間まとめ的なものを国内の物理学会に昨年8月に投稿したが,未だに査読結果が確定せず,他の論文も出せない状況にある.また,新しい通信方式に関しては,全く新しいものであり,研究グループ間での諸権利等が確定するまで,論文の投稿を控えている. 最後に,本年度初頭に体調を大きく崩したために,研究スケジュールが半年程度遅れたために,各部で影響が出た.現在は研究できる環境にあり,来年度半ばには実用のための研究のまとめができると考えている.
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