Research Abstract |
入力,状態,出力に連続変数,離散変数が混在するハイブリッドシステムは,多くの分野における重要かつ急務な研究課題であり,ハイブリッドペトリネット(以後,HPと記す)はその有用なモデルの1つである.HPはDavid and Allaによれば,離散プレースと連続トランジション間の枝はないとしてよい.更に,連続プレースと離散トランジション間の枝もないものを初等的HPと呼んでいる(以上の制約では,往復枝は許される). 本年度は,最終年度であったため,目的,実施計画を多分に過度に捉えていた感が強かった.そのため,一部消化不良となった.しかし,以下のことを明らかにしたが,これらは時間なしの離散ペトリネット,連続ペトリネット,初等的HPの挙動解析に有用に活用されるものである. 1.X={状態方程式の非負整数解からなる無限集合}より,可到達性をδ%保証できるXの有限部分集合X^*の生成法. 2.1個の解xεX^*の実行可能性の判定のアルゴリズムの精査. 3.擬似解解消のためのトークン補充アルゴリズムの精査. 本年度は,以上の3つの他に,次の逆問題を提案している.すなわち,状態方程式の非負整数解を求めることの緩和問題は,非負実数解を求めることであり,この逆問題は,非負実数解を与える連続システムから非負整数解を与える離散状態システムを求めることである(松本,恐神,茂呂;"定常連続システムから離散状態システムを得るための一手法",信学技報,Vol.110, pp.13-18(コンカレント工学),2010-08-02~03(金城学院大学(金沢)). 今後は,各アルゴリズムのインプリメントの他に,以下のことを行いたい. 1.初等的HPよりも広い時間なしHPの挙動解析の代数的アプローチの具体化. 2.基本特解の必要十分条件の導出.
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