2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁性めっき線の開発と渦電流形変位センサヘの適用に関する研究
Project/Area Number |
19560421
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
水野 勉 Shinshu University, 工学部, 准教授 (90283233)
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Keywords | 渦電流形変位センサ / 直線範囲 / 磁性めっき線 / 鉄 / パーマロイ / 近接効果 / 温度ドリフト |
Research Abstract |
従来の渦電流形変位センサ(EC変位センサ)のコイルの外径Dに対する直線範囲Lの比は,L/D=0.48程度であり,直線範囲を拡大するためにはコイルの外径を大きくする必要があった。L/Dの拡大のために銅線(COW)の外周に磁性薄膜をめっきした磁性めっき線(MPW)を用いたコイル(MPWコイル)を提案して,COWコイルと比較して1.5倍以上の直線範囲の拡大を実現してきた。MPWは磁性薄膜の磁気シールド効果によって近接効果に起因する交流抵抗の増加を抑制でき,かつインダクタンスを増加,さらに測定対象により多くの磁束を作用させることができる。 さらなるL/Dの拡大のためには,従来の磁性薄膜に用いていたFeよりも高透磁率で,かつ高抵抗率の両者をもつパーマロイ薄膜をめっきしたMPWを開発する必要がある。そして,EC変位センサの変位測定感度をさらに向上させて,L/Dを従来技術の2倍以上に拡大することを目的としている。コイル形状に巻くためにMPWには応力が作用する。したがって,応力が作用しても,その磁気特性が劣化しないことも必要である。このためには磁歪定数がゼロであることが必要であり,80%Niのパーマロイ薄膜をめっきした。このパーマロイ薄膜の初透磁率は400程度であり,Fe薄膜よりも4倍も初透磁率が大きいことが分かった。また,磁性薄膜の初透磁率と抵抗率および厚さが近接効果に与える影響を理論的に解明した。さらに,Fe薄膜をもつMPWコイルの温度ドリフト特性をセンサの励振周波数を調整することで改善する方法を理論と実験の両面から実証した。
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