Research Abstract |
本年度は,(1)完全シフト不変なウェーブレット設計法の開発および(2)金属めっき表面欠陥計測システムの構築を実施した。(1)としては,従来,解析信号の僅かな時間方向のシフト変動に対して,各分解レベルにおいてウェーブレットが捉えるエネルギが大きく変動してしまう,シフト不変性の欠如が問題となっていた。これに対して,完全シフト不変なウェーブレット変換を提案し,その設計法を確立した。この成果は11.に示す掲載論文として公表している。本成果の主な特徴は,信号の位相情報を考慮するための複素数ウェーブレットによる実装を行った点と,ターゲット信号を実数に特化することで,並列処理による高速化を図った点である。 また,(1)の理論を画像解析に応用し実装するための(2)に挙げるシステムの構成を検討した。当初,画像取得のための撮影機構および撮影時の光量制御・光環境確保のためのシステムを個別に検討し,研究分担者らによる独自設計を検討していた。これに対し,本研究で必要とする撮影機構の計測用テーブルやカメラ位置制御機構を含む汎用装置の存在が明らかになった。そこで,本研究での必要諸元を満たす機構の改良と各種装置および(1)の理論にもとづく制御プログラムの実装が可能であることを確認し,細部の修正、調整を行った上で,装置の導入を行った。また,光環境を確保した計測環境を構築して同装置を導入し,必要機材の組み込み等を経て,(2)の計測システムを構築した。 次年度は,計画通り表面欠陥検出プログラムを構成し,最適化手法を用いて金属表面反射モデルの最適化を行い,計測システムへの実装を経て,提案手法の妥当性を検証していく。また,同計測手法の高速化にむけた,ハード・ソフト両面での改良を行う予定である。
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