2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560436
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津村 幸治 The University of Tokyo, 大学院・ 情報理工学系研究科, 准教授 (80241941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 辰次 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (80134972)
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Keywords | 量子力学 / 制御理論 / スピン系 / フィードバック制御 / 量子フィルタリング |
Research Abstract |
本研究では,連続測定下にある量子制御系を対象とし,その制御性能限界を明らかにすることである.平成19年度では量子フィルタリング性能限界,フィードバック制御の性能限界,推定と制御の分離性等の解明を目指す.研究活動は次の3点で実施される.A:理論構築,B:数値実験による検証,C:研究発表.これらA〜Cの3つの研究活動について次の結果を得た. A:理論構築 量子ビットを実現する一つの候補である量子スピン系を対象とし,連続測定下にある量子系のフィルタリング方程式の収束度を得るために不可欠となる,連続入力によって大域安定化を実現する制御フィードバック則を求めた.特に一般次元でかつ任意の固有状態を制御目標とする安定化フィードバック則が学術的に意義のあるものである.またこの連続フィードバック則の発見により,それを適用した量子スピン系の量子状態の目標状態への収束度についての理論的上界を得ることに成功した.その上界は測定効率や制御器の自由パラメータを用いた関数であり,よりよい性能を達成するための指針を与えることになる.また一方で,光学系である量子スピン系とは別の有力な量子ビットの候補として,井戸型ポテンシャル場にある原子からなる量子系を考え,量子非可換作用素からなる確率論に沿った厳密な考察により,その量子フィルタリング方程式の導出に成功した.このフィルタリング方程式はこれまで簡易な考察により知られていた方程式の正しさを証明するものであり,学術的に意義の有るものである. B:数値実験による検証 理論的に得られた量子フィルタリング方程式の収束度を数値実験により検証した.具体的には本研究の予算で購入した高速計算機により,フィードバック制御された多次元スピン系の量子状態をシミュレートし,測定効率,制御パラメータの値に対する収束度の変化が理論的に得られた上界値と整合することを確かめた. C:研究発表 結果に関して平成19年度は,2007 American Control Conference,計測自動制御学会制御理論シンポジウム,計測自動制御学会制御部門大会でそれぞれ発表した.
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Research Products
(4 results)