Research Abstract |
本研究では,連続測定下にある量子制御系を対とし,その制御性能限界を明らかにすることである.平成21年度では量子フィルタリングの性能限界,フィードバック制御の性能限界,推定と制御の分離性等の解明を目指した.研究活動は次の3点で実施される.A:理論構築,B:数値実験による検証,C:研究発表.これらA~Cの3つの研究活動について次の結果を得た. A:理論構築 量子ビットを実現する一つの候補である量子スピン系を対象とし,連続測定下にある量子系のフィルタリング方程式において,エンタングルド状態を達成するために測定系が満たすべき条件を求めた.特に一般次元の,あるクラスのエンタングルド状態を制御目標とする測定系の構造を明らかにしたことが学術的に意義のあるものである.また,量子フィードバック系のサンプル値系について,大域的安定化を達成する制御フィードバック則と,サンプリング時間についての条件を導出した.実際に量子系をフィードバック制御するには,これをサンプル値系として扱う必要があるが,これまでサンプリング時間が0となる漸近的な場合しか考慮されてこなかった。本結果では,厳密に0より大きいサンプリング時間により大域的安定化が可能であることを示すものである.最後に,より一般的な量子フィードバック系を考え,フィードバックに不可欠な可制御性を持つための観測系が満たすべき条件を導出した. B:数値実験による検証 量子フィードバック制御系の収束度を数値実験により検証した.具体的には本研究の予算で購入した高速計算機により,フィードバック制御された多次元スピン系の量子状態をシミュレートし,測定効率,制御パラメータの値に対する収束度の変化を解析した. C:研究発表 結果に関して平成21-22年度は,SICE Journal of Control,Measurement,and System Integration,IEEE Conference on Decision and Control2010,計測自動制御学会制御部門大会,SICE Annual Conference2010でそれぞれ発表した.
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