Research Abstract |
本研究では,(A)保守性を低減化したロバスト安定性解析手法の構築,および,(B)外乱の影響を受けない異常検知フィルタの設計方法の確立についての研究を実施した.(A)については,保守性を低減化したロバスト制御設計手法を発電用風車のピッチ角制御系に応用し,従来のロバスト制御設計手法に比較して制御性能を向上できることを確認した.この結果は,ピッチ角制御問題に提案方法を適用することにより,制御性能を保ったまま信頼性の高い制御器が設計できることを新たに示したものである.そのため,アクティブシステムの信頼構築のための新しい可能性を示した点で意義深いと言える.研究成果は,IEEE/MSC2009(CCA2009)にて発表を行い,当日会場にてSpringer社より発表内容について図書出版の打診を受けた.また,(B)については,従来手法を発展させ,SMO(Sliding Mode Observer)と外乱オブザーバの併用などにより,外乱や観測ノイズの除去性能を向上させた手法を提案し,機械系への応用例を通してその有効性を検証した.その結果は,European Control Conference 2009にて研究発表を行った.さらに,従来の異常検知フィルタの設計理論は人工衛星の姿勢制御系のように原点極を持つシステムには適用できなかった.そこで,この問題を解決する新規手法を提案し,計算機シミュレーションによって異常検知性能が優れていることを検証した.その結果は,日本機械学会論文集(C編)に掲載された.さらに,これら異常検知手法は,未知入力/出力外乱の推定器に応用できることを見いだし,ハードディスク系の外乱抑圧制御への応用検討を行った.その結果は,計測自動制御学会の制御部門大会にて研究発表を行った.以上の成果により,アクティブシステムの信頼性を向上させるための制御設計技術の確立に貢献することが出来たと考えている.
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