2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560445
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川邊 武俊 Kyushu University, システム情報科学研究院, 教授 (60403953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 正和 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (50404059)
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Keywords | 電磁駆動弁 / モデル予測制御 |
Research Abstract |
電磁駆動弁はエンジンの吸気弁や排気弁としての利用が期待されている。電磁駆動弁を用いることで任意のバルブタイミングを実現することができ、従来のカムシャフトと連動した弁に比べて十数パーセントの燃費、出力の向上が期待できる。電磁駆動弁は電機子をばねで吊った構造をしており、この電機子を電磁石で吸着することで、弁を開閉する、電機子はおよそ9[mm]の電磁石間を3[ms]から4[ms]以内という短時間で移動する必要がある。このように電機子は高速で動くため、電機子と電磁石が衝突すると騒音や衝撃が発生し、好ましくない。また、衝突は耐久性の面からも好ましくない。そこで、電磁石が電機子を吸着する時の速度を概ね0.1[m/s]以内とする運動制御が必要になる。 電磁駆動弁の制御系の設計に際し、次のような問題点があることが知られている。1)電機子が電磁石に十分に近づかないと、吸引力が得られないため電機子の運動を制御できる時間が短い、2)電磁石は吸引力のみを持つので、近づきすぎた電機子を押し戻すことができない、3)エンジンの回転に同期し、所定の時刻までに弁を全開あるいは全閉にしなければならない、4)比較的短い周期の間に制御入力を計算しなければならない。 本研究では、上記の問題点の解決のためにモデル予測制御系の構成を提案した。従来の研究では電機子を漸近的に目標位置に収束させている制御結果がえられていたが、提案手法では電機子を漸近収束させることなく高速に着座させることが可能となった。また、評価関数と拘束条件を与えることにより、従来研究で保証されていなかった、解が常に正となる条件を導くことができた。評価関数は電磁力の二乗積分値を最小にするように指定し、制御入力の計算時間を減らすことが可能となった。以上のように、電磁駆動弁の制御に関して実用化に向けた重要な研究成果を得ることができた。
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