2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形物理モデルの同定法の開発と予測および制御への応用に関する研究
Project/Area Number |
19560454
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐野 昭 Keio University, 理工学部, 教授 (10051765)
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Keywords | 適応制御 / 非線形制御 / 非線形摩擦補償 / MRダンパー / 非線形増幅器 / 非線形歪み補償 / OFDM通信 |
Research Abstract |
一般に制御対象の非線形物理モデルは、モデルパラメータを非線形形式で含むため、その実時間同定や適応制御は極めて困難となる。そこで,本研究では,パラメータに関して非線形となる制御対象モデルあるいはフィードファワード制御器を線形パラメトリック表現で記述する方法を開発し,実時間適応アルゴリズムのロバスト性を保証するための条件を明らかにすることを目標とした。得られた成果は以下の通りである。(1)非線形摩擦現象を最も忠実に表現できる一般Maxwell-Slipモデルを取り上げ,この未知パラメータを線形パラメタライズすることにより,適応制御アルゴリズムを導出し,モデル化誤差の存在下でも位置制御および速度制御の適応制御におけるロバスト安定性を解析することに成功した。(2)サスペンションシステムのセミアクティブ制御をMRダンパを用いて適応制御系を構成する方法を研究した。特に,MRダンパの未知非線形モデルを線形パラメタライズすることにより,MRダンパとサスペンション系の質量や岡性係数が未知という一般的な状況下でもロバスト安定性を保証する実時間適応制御アルゴリズムを明らかにし,性能評価を行った。(3)線形ダイナミカルシステムの入力部に飽和特性などの非線形特性をもつパラレル・ハマーシュタイン系に対する非線形歪み補償を行うためのOFDM通信のためのプレディストータを適応的に実現するための新しい方法の開発に成功した。この方法は,既に線形系に対して開発した仮想誤差法を非線形系に拡張できることを明らかにしたものであり,これにより安定な適応アルゴリズムが得られた。 来年度の課題として,実験による検証,非線形型仮想誤差法の一般化と安定性の証明などが残されている。
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