2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形物理モデルの同定法の開発と予測および制御への応用に関する研究
Project/Area Number |
19560454
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐野 昭 Keio University, 理工学部, 教授 (10051765)
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Keywords | 適応制御 / 適応フィードフォワード制御 / 非線形補償 / MRダンパ / 非線形増幅器 / ピェゾアクチュエータ / スマートウインドウ / アクティブノイズコントロール |
Research Abstract |
非線形物理系の適応制御において、制御対象である非線形物理モデルは、モデルパラメータを非線形形式で含むため、その実時間同定法や適応制御法は極めて困難とある。そこで、本研究では、非線形適応制御を現実に適用可能とすることを目指し、パラメータに関して非線形である通常の物理モデルを線形パラメトリック表現で記述する方法の開発と、具体的な適応事例による検証を行った。 まず、MRダンパの電流駆動モデルを取り上げ,減衰力が電流と速度に対して非線形となる現象を多項式線形モデルで表現することにより、線形パラメトリックモデルを実時間で構築し、サスペンションシステムのセミアクティブ適応制御アルゴリズムを開発し、制御実験を通して他手法と比較を行い、提案法の有効性を明らかにした。 次に、OFDM伝送系の高出力増幅器の非線形歪みの実時間補償を安定に与えるための安定性を補償した適応アルゴリズムを開発し、その有効性をシミュレーションと理論解析により明らかにした。従来の非線形性の適応補償として採用されてきたFiltered-x法は、キャンセリング誤差と適応フィルタの間に非線形未知ダイナミクスを含むため安定性が保証されないのに対して、新たに導出した仮想誤差法に基づくFiltered-x法は計算量の増加を抑えつつ、誤差とフィルタの間のダイナミクスを除去したアルゴリズムとなっており、安定性が保証されている点に大きな特徴がある。 さらに、ピエゾ素子を用いた2重窓の選択的な非線形アクティブ騒音制御アルゴリズムを開発し、その有効性を制御実験により明らかにした。前述した仮想誤差法をフィードバック制御にも拡張し、ドップラー効果を考慮したサイレン音を通過させ、それ以外の騒音をすべてキャンセルする点に新規性がある成果が得られた。
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