2008 Fiscal Year Annual Research Report
回転式打音検査法によるコンクリート構造物の健全度診断システムの開発
Project/Area Number |
19560480
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園田 佳巨 Kyushu University, 工学研究院, 教授 (40304737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 康貴 九州大学, 工学研究院, 助教 (10325508)
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Keywords | 回転式打音検査 / コンクリート構造物 / 非破壊診断 / 音響解析 |
Research Abstract |
近年,老朽化した構造物に対する適切な維持管理の重要性が非常に高くなり,構造物の非破壊診断法の研究・開発が数多くなされている.しかし,従来の非破壊診断法の殆どは理想的な条件下でなければ効力を発揮しにくい場合が多く,大規模な野外構造物などに対して有効な検査法は少ない. 一方,従来から簡易な非破壊診断法として利用されてきた打音検査は,点検員の労力が大きいことや,打音の音質から経験的な感覚で異常の有無を判断することが多く,理論的な裏付けがあまりなされていないことなどが問題点として指摘されている.回転式打音検査法は,打音検査の精度と効率を向上させるために開発されたもので,ロッド先端の金属製の回転部をコンクリート表面に押し当てながら回転させ,発生する連続打音の変化をもとに異常箇所を調べる方法である. 本研究は,回転式打音検査法の診断メカニズムについて音響解析をベースとした基礎的な考察を行い,具体的には平成19〜20年度において以下の成果を得た. 1)従来の単発式の荷重入力に比べると,打撃力のバラツキが小さく,調査範囲の打音を連続して聞き分けることが可能なため,欠陥の有無を識別し易い. 2)従来の打音法(健全部で高周波音が得られる)と周波数特性が異なり,回転式打音法では欠陥が存在する箇所で5000Hz以上の高周波域の音圧が大きくなる傾向にある. 3)回転式打音法による荷重は,通常のテストハンマーによる荷重の約1/10と小さいため,発生音圧も20dBほど小さい.そのため,かぶり深さ5〜6cm以上の位置の欠陥の有無は判別が困難である. 4)打音の特徴量として最大音圧と継続時間を選択し,健全部との相対値をとることで,欠陥の有無を検出する能力が飛躍的に向上することが確認できた.
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Research Products
(5 results)