2008 Fiscal Year Annual Research Report
繰返し荷重を受ける大型断面木部材の鋼ジョイント近傍の応力性状の解明
Project/Area Number |
19560482
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
今井 富士夫 University of Miyazaki, 工学部, 教授 (00038077)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 隆雄 宮崎大学, 工学部, 教授 (70041027)
|
Keywords | 集成木材 / ボルト接合 / 引抜け性状 / 耐荷力 / 樹脂充填 / 静的漸増荷重 / 静的繰返し荷重 |
Research Abstract |
本課題はボルト接合された鋼ジョイントの耐荷力特性を明らかにするものである。大断面の集成木材を鋼ジョイントにてボルト接合する場合、ボルトのねじ部の破損や木部材のボルト孔の裂けを避けるために、一般にはボルト孔はボルトよりも大きく穿たれ、その隙間には樹脂が充填される。本研究当初は樹脂を充填しない接合部の挙動解明を目的としていたが、昨年度、接合部の実態に即した樹脂充填接合部を有する供試体についても実験を実施した結果、樹脂は耐荷力に高い効果を与えることが明らかにされた。 そこで、本年度は3種類の供試体に対して、静的漸増荷重と静的繰返し荷重を載荷し、ジョイントからの引抜け性状を検討した。供試体は、(1)φ12のボルト孔にφ12ボルトを打込んだもの、(2)φ16のボルト孔にφ16ボルトを打込んだもの、(3)φ16ボルト孔にφ12ボルトを挿入し、隙間に樹脂を充填したものの3種類である。 3種類の供試体の結果から、供試体(3)の耐荷力は供試体(2)とほぼ同等となることが明らかにされた。この結果は、施工性の向上や接合部の健全性確保の目的でボルトよりも大きな孔を穿ち、ガタ防止で樹脂を充填する施工法を採用した場合、設計計算で対象とするボルト径は使用ボルト径ではなく、ボルト径よりも大きなボルト孔を設計ボルトの径として使用できることを示唆するものである。このことから、本年度に得られた結果は設計ボルト本数の大幅な低減を導くことを可能にする、合理設計の開発に極めて有意義な知見を与えたことになる。
|