2008 Fiscal Year Annual Research Report
粘土のせん断抵抗係数tanφのメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
19560491
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大河原 正文 Iwate University, 工学部, 准教授 (80223741)
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Keywords | 地盤工学 / せん断強さ / 表面・界面物性 / 粘土鉱物 / 水 |
Research Abstract |
粘土のせん断抵抗係数tanφのメカニズムの解明を目的に,せん断面のミクロ物性について研究した。(1)原子間力顕微鏡によるせん断面のミクロ摩擦力および粘性測定より, 高純度スメクタイトは温度上昇に伴い段階的に摩擦力が増加し、粘性は温度上昇に伴い段階的に小さくなることを確認した。湿度との関係では、湿度上昇に伴い摩擦力は段階的に小さくなり、粘性は大きくなることを確認した。(2)せん断強度と電荷との関係では、CEC値とせん断強さが反比例の関係があることを確認した。しかし、その変化は不連続的であり、両者の関係を定量的に説明するにはさらなる研究が必要である。ゼータ電位との関係では、ゼータ電位の大きさとせん断強さとの関係を示唆するデータが得られているが、実験条件を詰めるまでは至っていない。(3)分子軌道法により粘土鉱物の構造最適化ならびに水分子の吸着力エネルギーを計算した日その結果、粘土鉱物に単独で水分子が吸着する場合、2つの水素を粘土鉱物に向けて吸着する、いわゆる対象型を呈することが明らかになった。しかし結合エネルギーは非常に小さく、水分子は自由に動ける結果となった。粘土鉱物と水分子との問に陽イオンを挟んだときは、粘土鉱物の六員環に陽イオンが収まり、水分子は陽イオンに酸素を向けて吸着する。結合エネルギーは、比較的大きな値となり、水分子は粘土表面に吸着している。このように、粘土鉱物の吸着水は、直接吸着されているのではなく陽イオンを介して吸着する。
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Research Products
(3 results)