Research Abstract |
初年度は、岐阜県の27観測地候補の中から、中部大学の恵那キャンパスにあるフィールドを対象に,1.測量,2.踏査による植生調査,3.土壌水分調査,4.土質分類のための物理試験,5.原位置・室内不飽和透水試験,5.現地観測を実施した。本フィールドを選択した理由として,植生が高木から低木,湿地,草地とバラエティに富むこと,地質の変化も見られることによる。 現地の土岐砂礫層の上部に位置する沢周辺の測量を行い,表層厚を静的貫入試験の結果から推定し,地中レーダーによる水分分布調査を実施した。また,現地で土壌水分量,サクション,雨量などの観測を実施している。さらに,踏査による植生調査とともに地質情報を得るために,今回は試験的にフィールド内の7地点から,土質試験を行うために試料のサンプリングを行い,植生および地質,不飽和浸透特性の相関関係を調べた。今回サンプリングした地点において,植生と地質の関係に強い相関が見られた。粘土分含有量に比例する塑性指数または粒径範囲(均等係数)と植生の相関,有機物含有量に比例する強熱減量と植生の相関が特に高く,葉の分解速度と影響が確認される結果となった。また,塑性指数,均等係数,強熱減量および平均粒径に対する土の保水性や透水性の相関も得ることができ,不飽和浸透特性モデルのパラメータ推定の可能性を得た。今回,実施された観測結果,試験結果の一部は研究成果にある論文報告等に示されている。今回,植生,地質,不飽和浸透特性の関係の有意性を裏付けるデータを得ることができたが,今後データの蓄積と広い範囲において植生調査のために画像解析を用いることを予定している。
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