2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダム流入・放出有機物の河川生物供給動態の解明と生態系に及ぼす影響
Project/Area Number |
19560509
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤野 毅 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70282431)
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Keywords | 流下有機物 / リーフリター / 底生動物群集 / 付着藻類群集 / 河川生態系 / ダム |
Research Abstract |
最終年度では,調査対象とした滝沢ダム上下流の一次生産性の高さに着目し,栄養塩濃度に加えて溶存有機物の影響にも着目した.当該河川の溶存有機物濃度は,平水時においては1.0mg/l以下と低かった.三次元励起蛍光分光光度法を用いた腐食物質の解析から,人為負荷の極めて少ない河川であることを検証した.その中で,窒素およびリンの栄養塩濃度がほぼ同じであるものの,相対的に溶存有機態濃度および無機イオン濃度の異なる個所において,付着藻類の出現状況を簡易に調べた結果,溶存有機態濃度の高いほうが多量に発生していた.しかしながら本結果はまだ一度の現地データのみかの結果であるため,その他の要因と合わせてさらなる検証が必要である. 次に,河川水を採水し,実験室において簡易な循環水路を複数作成して付着藻類が繁茂している礫を投入し,溶存有機物が光合成活性に影響を与えているかどうかをPulse Amplitude Modulated Fluorescence 法によって試験的に調べた.一つの水路にリーフリターを添加してDOC濃度を5.0mg/l程度にすると,添加しないケースと比較して相対的に活性度が下がらない傾向と下がる傾向が見られた.前者では難分解性溶存有機物による無機塩や鉄の吸収を助ける役割があること,後者ではフミン酸を直接取り入れたことで成長阻害が生じたことが仮説として考えられるが,緑藻と珪藻で特性が異なることもあり,引き続き詳細な試験を行っている.
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