2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560520
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
小島 治幸 Kyushu Kyoritsu University, 工学部, 教授 (20150485)
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Keywords | 海面上昇 / 沿岸域管理 / 高潮数値計算 / 地理情報システム(GIS) / 沿岸域人工系システム / 干潟環境 / VOF法 / 越波量 |
Research Abstract |
本研究は,海面上昇による沿岸災害に対する危険度や自然環境への影響を明らかにして,それに対する適応策を考慮した総合的沿岸域管理制度のメニューを提案することを目的としており,平成20年度は以下の研究成果があった. 1. 海面上昇により高潮災害が増大することが最も危惧されることから,昨年度開発した周防灘を対象とした高潮数値計算とモデル台風のパラメターを用いて高潮特性を明らかにした.すなわち,高潮増幅率が最も高い台風コースは,周防灘の西側を南東から北西方向に抜ける場合で,伊勢湾台風級の規模の台風により,高潮偏差が4m程度になる.また,最高潮位の観測値より極値統計解析を行い,最高潮位と再現期間(確率年)の関係を明らかにした. 2. 沿岸域における人工システムの代表として埋立地と護岸形態の新門司港を対象として,昨年度開発したVOF法による越波数値モデルを用いて,護岸を超える波の水量(越波量)を算定した.その結果,想定した波浪条件では現況の護岸高は許容越波量を満足するが,0.44mの海面上昇で越波量が最大約3倍,0.88mで約7倍と増大し,許容越波量を遥かに超える. 3. 自然環境に関しては,干潟海岸に対する海面上昇の影響を明らかにするため絶滅危惧種であるカブトガニの幼生を指標種として,昨年度明らかにした生息環境の物理・化学的特性に対して,海面上昇が起こった場合,カブトガニ幼生が最も生息する標高0m〜0.5mの干潟面積が8割以上消滅し,幼生の生息環境が激変する可能性があることを明らかにした.
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