2007 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸域における懸濁物変動機構解明に向けた海中混合エネルギーの長期連続計測法の研究
Project/Area Number |
19560526
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長尾 正之 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 研究員 (70251626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高杉 由夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, シニアスタツフ (20357354)
橋本 英資 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20357768)
小林 志保 京都大学, 農学研究科, 助教 (60432340)
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Keywords | 水工水理学 / 海洋工学 / 海洋物理・陸水学 / 環境変動 / 自然現象観測・予測 |
Research Abstract |
本研究では河川から供給される陸起源の懸濁物質輸送量の長期にわたる定量化および変動特性の把握と、海底上の懸濁物質が海中へ回帰する過程の把握、およびこれらに影響する乱流混合強度の長期変動特性の計測方法について研究を行う。 人間活動由来の物質が内湾の海底上に形成する分布の生成機構を明らかにするため、広島湾奥部において2002年から2003年にかけて調査された底泥中の懸濁粒子に含まれる有機スズ化合物濃度の水平分布の形成過程を、物理的側面から検討した。調査は、船底防汚塗料や漁網防汚剤として使用されてきたトリブチルスズ(TBT)とトリフェニルスズ(TPT)のほか、TBTの分解生成物であるジブチルスズ(DBT)について実施され、TBTおよびTPT濃度は、造船所の前面水域で最も高く、この水域から遠ざかるにしたがって低下していたことがわかった。一方、DBTはこれらとは異なる分布傾向を示していたが、その理由はDBTがTBTの分解生成物と考えることで説明できた。また、数値実験によれば、排出源から放出された懸濁粒子が河口循環流に伴って底層を湾奥向きに向かって移動し、およそ2週間で懸濁粒子の大半が湾奥部の海底近傍に輸送されるとの結果を得た。この結果は、観測結果と整合的であったので、有機スズ化合物が発生源から底泥粒子に付着し、それが撹乱で再懸濁して周囲に輸送・拡散することにより、実際の濃度の平面分布が形成されることが裏付けられた。この結果を海岸工学論文集で発表した。 また、瀬戸内海中部に位置する芸予諸島において平成16年度に収集した潮流エネルギー逸散率のデータを解析し、リエージュ大学(ベルギー)で行なわれた39th International Liege colloquium on ocean dynamicsにおいて発表した。瀬戸内海のような多島海における潮流エネルギー逸散率の時間変化は、ヨーロッパに多い開放性陸棚海域のそれとは異なる点が多く、興味深い結果であると考えられたので、さらに解析を進めている。
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Research Products
(11 results)