Research Abstract |
安全性・利便性・快適性を統一的・総合的に評価した道路ネットワークのアセットマネジメントシステムを構築することを目標として,災害リスクを含めて利用者費用・便益,外部(不)経済効果を体系化するとともに,実際のデータに基づいた定量的評価を試み,アセットマネジメントに関する検討を行った. 1.道路網アセットマネジメントのための費用・便益の体系化 道路網アセットマネジメントのための災害リスクを含む様々な費用・便益を帰着分析に基づいて,計測漏れや二重計算に注意しながら,体系的に整理した.本研究で取り上げる費用・便益の項目の主なものは,(1)狭義の維持管理費用,(2)維持管理(補修工事等)がもたらす社会的費用,(3)維持管理による劣化回避がもたらす社会的便益,(4)施設改良がもたらす社会的便益であり,これをベースとして整理した. 2.災害リスクを含む様々な費用と便益の定量的評価方法の検討 災害リスクを含む様々な費用と便益を定量的に評価するために,岐阜県の橋梁,舗装,斜面に関する実際の点検データを収集整理するとともに,県民へのアンケート調査方法を検討した.具体的には,(1)橋梁,舗装,斜面に関するデータを収集し,定量的評価を行えるように整理した.また,交通量など,道路交通環境に関するデータも収集整理した.(2)一対秘策法によるアンケート調査において,属性とレベルを設定し,プロファイルをデザインした後,プレテストを実施した. 3.道路網アセットマネジメントのための評価指標の検討 的確な道路網アセットマネジメントが実施可能な安全性・利便性・快適性に対する統一的・総合的な評価指標を検討した.安全性・利便性・快適性のバランス,あるいは重要度の設定に,道路利用者および県民のニーズが加味されることは,不確実な将来に対して現時点で社会的な合意を取るという側面からも有用であると思われるため,コンジョイント分析を用いて検討した.
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